湘南ベルマーレの財政問題
Jリーグに加盟しているサッカークラブでも、財政問題を抱えることがあります。ここでは、湘南ベルマーレの場合について説明します。
Jリーグの黎明期より、中田英寿選手をはじめ、多くの日本代表選手を輩出してきた湘南ベルマーレですが、J2に降格した年に、スポンサーの完全撤退等の理由で、クラブの財政が非常に厳しい状況になったことがあります。
クラブの運営予算が前年の約半分になってしまう等、チームの強化どころか存続に危機に瀕したといっても過言ではない状況に陥りました。この際にクラブを助けたのは、ボランティアでした。
試合の運営だけでなく、選手の食事や練習場所の整備等、数多くのボランティアの人々の支えによって、クラブは危機的状況から脱することができ、現在でも、決して潤沢な資金を持っている訳ではありませんが、しっかりと経営を続けていくことができています。これらの事象は、クラブが地域に根差すきっかけを作る出来事であり、これらの問題を、クラブとサポーターが一体となって乗り切りことができたからこそ、地域に根差すことができたといえます。
この湘南ベルマーレの事象だけでなく、Jリーグに加盟するサッカークラブの中には、依然として、厳しい財政問題を抱えているところもあります。安定した経営基盤を目指す為には、地域に根差すことと身の丈にあった経営が必要だということを教えてくれた事例になるのではないでしょうか。
解散の危機にあったヴァンフォーレ甲府
もう1つの財政問題の例として、ヴァンフォーレ甲府をピックアップします。
ヴァンフォーレ甲府は1999年にJ2に参入しましたが、参入時既にその準備にかかった経費により赤字でした。財政問題を解決するために人件費を削りますが戦力が下がり、3年連続の赤字となり運営が危機的状況となりました。その後地域の住民にスタジアムに足を運んでもらうようアピール活動をして、サポーターが有志で募金や署名活動などのボランティアを行い何とか解散は免れました。
2002年以降は依然経営状況が厳しいなか、企業や応援する人たちの努力によって黒字を出し、2006年にはJ1に昇格し、スポンサー収益や観客動員数が上げ、債務超過が解消されたことを発表しました。しかし、J1での成績は15位から12位と厳しく、依然として債務が残っており、今後の課題は山積みです。
Jリーグの財政問題のネックとなっているのは、試合数の少なさとスタジアムの集客数の少なさです。野球の年間144試合に比べてJリーグは3分の1の41試合です。また、野球の球場はほとんどが3万人以上集客できるのに対し、サッカー場は国立競技場を除くと1.5万~2万人となります。これらの収益から選手の年棒や移籍金を捻出するので、厳しいクラブ運営をすることになります。